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「人助けは、自分助け」という話

 

 

「運」はどこからやってくるのか?

 

ユダヤに伝わる「運」の話

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昔、旅人がある村にさしかかった。ふと見ると、村の住人たちが道に倒れて死んでいる男を蹴飛ばしたり、棒で殴ったり、石をぶつけたりしていた。

 

驚いた旅人が村の住人たちに理由を尋ねると、村人は言った。「この男は、葬儀代を残さずに死んだんです。だからこうしてやるのが村のしきたりなんです」と。

 

気の毒に思った旅人は持っていた最後のコインを村人たちに渡し、丁寧に埋葬してくれるよう頼んだ。

 

旅人は村を出て、旅を続けた。そんなある日、ひとりの若者と出会い、その若者は旅人に同行するようになった。

 

若者は旅人が川に落ち、急流に流された時は、川に飛び込んで助けてくれた。

 

大ケガをした足は、薬草を探してきて治してくれた。

 

食べ物がなくなったときは、果実を持ってきてくれた。

 

幾度となく旅人の命を救ってくれた若者は、ある日、旅人に別れを告げて別の道を歩いて行った。

 

若者が風のように去ったあと、旅人は気づいた。

 

自分を助けてくれた若者は、あの日のあの村で道に倒れ死んでいた若者だったのだと。

 

(翻訳:南風椎)

 

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「情けは人の為ならず」という格言がよくわかる話ですね (^^) ♪